月は宙で輝く天体の中でもとても身近な存在。 宙の月だけでなく、月をテーマにした音楽や芸術もたくさんあり、 私たちのくらしのいろんなところで親しまれています。 ここでは、お月見をもっと楽しめるような豆知識やポイントをお伝えします。 文:木原 美智子
月は新月から次第に満ちていき満月を迎え、再び新月に向かって欠けていきます。 古(いにしえ)を生きた、さまざまな民族にとって、この一定のサイクルは時の流れと繰り返しを知ることができる貴重な現象。人々のくらしに大切な役割を果たしてきたのです。
月は満ち欠けを繰り返し、毎日少しずつ形を変えていきます。 月は地球の周りをまわっていて月と太陽が同じ方向にきたときが新月になります。 新月を月齢0として表し、だいたい月齢15で満月を迎え月齢29で次の新月を迎えます。月の満ち欠けの周期は29.5日です。
月の形が変わるサイクルが日を数えやすいため、世界各地の多くの民族にとって月は暦(カレンダー)の基準でした。ちなみに、日本で明治5年まで使われていた太陰太陽暦(旧暦)は、太陽の動きと月の満ち欠けの両方を取り入れた暦。今では月の暦を使う機会は減りましたが、月を眺めていると月の変化のサイクルが体の中に溶け込んでくるような感覚に。特に満月を愛(め)でる「お月見」は昔の人たちが見出した月と暦のつながりを体感させてくれるのです。
季節によって満月が宙で輝く高さは違い、夏は低い位置、冬は高い位置で輝き、春と秋はその真ん中くらい。 どの季節に輝く満月もそれぞれ美しいのですが、とりわけ秋は空気が澄んでいて見上げるのにちょうど良い高さで月が輝いてくれます。
昔から旧暦の8月15日(今の暦では9月~10月のどこか)の月は中秋の名月と呼ばれ親しまれてきました。今年(2019年)は、9月13日が中秋の名月にあたります。 旧暦は新月を1日目として数えるので、15日目は月齢14の満月手前の月が名月として宙で輝きます。 中秋の名月の起源は定かではないのですが、古き時代に中国から伝わった風習で、秋に満月を愛でる文化は日本だけでなくアジア各地に今も残る伝統的な習慣です。
月を眺めるときに“こうしなければいけない”というルールはありません。 ネオンの光がきらめく街中でも、宙が暗い田舎の街でも、観察場所は月が見えていればどこでもOK。 月をのんびり眺めて癒されたり、月見酒をたしなんでみたりなど好きなスタイルで楽しんでみましょう。
最近のスマホはカメラの性能がとても良いので、宙で輝く月の様子が簡単に撮れちゃいます。 月の写真をSNSでシェアしてみんなでお月見をするのも楽しんでみましょう。 SNSには世界各地から月の写真が共有されているので各地の月と見比べながらお月見するのもおもしろそう。 世界各地のみんなが同じ月を見上げているとイメージすると、なんだかわくわくしてきませんか。
目だけで眺める月も十分美しいですが、道具を通して見ると月の新しい一面に出会えます。
双眼鏡で見る月は2、3歩ほど宇宙空間に飛び出して月全体を眺めているイメージ。 軽量でコンパクトなものを選べば、持っていても手首が疲れないし、鞄にも忍ばせておけるので持ち運びに便利。 倍率はあまり高すぎると手振れで月がゆらゆら揺れて酔ってしまうため、6~8倍くらいがちょうど良くておすすめです。
天体望遠鏡は双眼鏡よりも迫力満点の月を見ることができます。 倍率が100倍くらいあれば月の地形がよく見えて月面散策しているような感覚に。 特に月の欠け際は光の陰影がついて立体感があり魅力的です。 ただ、満月は光が眩しすぎて望遠鏡では観察しにくいことも。 減光フィルターを使ってもいいですし、覗き口に紙などを当てて月の姿を投影しても楽しめます。
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