第4回シンポジウムレポート
平成30年度より観光庁「テーマ別観光による地方誘客事業」に選定されている宙ツーリズム推進協議会主催による第4回シンポジウムを7/3(金)にオンラインにて開催いたしました。今回は「地域振興・観光創生事業」をテーマとし、各方面で実際に活躍されている有識者の皆様に認定制度の仕組みや事例紹介等を講演していただきました。
主催者挨拶 (一社)宙ツーリズム推進協議会 代表 縣秀彦
コロナや豪雨の影響で大変な苦労をされていることをお見舞い申し上げる。こういう時だからこそ、皆で知恵を絞って一歩でも半歩でも前に進める機会になりたい。宙ツーリズム推進協議会は、2017年に立ち上がり2018年度から観光庁のテーマ別観光の支援を受け、この2020年度で制度上支援の最後となる3年目を迎える。この1年間でたくさんの方が会員として新たに参加していただき、現在全国各地42の団体、そして個人会員は14名となった。今回のシンポジウムでは会員の皆様がどのような活動をされているかお話いただく。実例を参考にしていただくとともに、宙ツーリズム推進協議会が皆様と一緒に何の取り組みを進めていきたいか、という点についてもご理解いただきたい。
「地域振観光創生事業プログラムのご紹介」協議会理事・株式会社ビクセン/都築泰久
「ヒト・モノ・カネ・情報」が揃わないと新しい事業を創造できないと考えている。宙をテーマに地方観光事業をスタートしようと思っていても各地域、施設によって状況が様々である。そこで宙ツーリズム推進協議会が、各団体の抱える課題や目標をヒヤリングし、それに適切な事業を提案するコンサルティングを行いたいと考えている。コンサルティングをした上で、適切な事業を提案し、実施までをサポートする。最終的には自立して事業を行っていただくことを目指してコンサルティングを行う。
また、星空ガイド事例紹介として株式会社ビクセンのサテライトスタッフの活動についても紹介。ビクセンでは星空観望会スタッフを登録制アルバイトに依頼し、さらに全国の大学の天文部と連携して人材を確保している。しかし、全国にスタッフがいるもののイベントの開催場所が関東に集中にしているため関東圏以外のスタッフの活躍の場が少ないことが課題としてある。今後、全国各地にイベントエリアを広げ活躍の場を提供したいと考えている。
「スターラウンド八ヶ岳 星空ナビゲーター」スターラウンド八ヶ岳実行委員会 跡部浩一
八ヶ岳エリアで活動している内容を紹介。地方観光創生のために始まったのがスターラウンド八ヶ岳の取組み。宿泊を伴う観光客を増やしていくために、八ヶ岳の自然、星空の魅力を伝えるプログラム作りを行い、晴天率が高い冬のイベントとして当初はスタートした。
そして、人材を育成する試みとして017年から星空ナビゲーター養成講座を開講。ペンションのオーナーなど実際にお客様をおもてなしする観光従事者などが参加し、2019年からは星空案内人講座と合体し、星空案内人を育成した。輩出した星空ナビゲーターに対しては冬季のイベント等のイベントで活動する機会を提供している。活動していただく星空ナビゲーターは有償ボランティアとして、または報酬としてお客様からいただく参加費の一部をお渡しするなどして、対価を支払い継続的な活動につながるよう取り組んでいる。
星には、思いをつなぎ、夢や希望を感じさせる魅力があると考える。今こそ、世界には星が秘める力が必要ではないか。オンライン上で出来ることから八ヶ岳で活動を進めていきたい。
「石垣島 美ら星マイスター」 星空ツーリズム株式会社/上野貴弘
石垣島美ら星マイスターの育成講座を2015年からスタート。毎回30名ほどの受講者がおり、座学やテスト等を受けて美ら星マイスターの認定している。認定後は石垣島の星空観光の担い手として活躍されている。
講座では「売れる星空ガイド」を目指すことを目的に、基本的な星空の知識だけでなく、トークパフォーマンスを重視して行っている。他にもお客様との場の作り方、天候による対応など現場で生きてくる内容も講座に含め、ボランティアではなくプロのガイドとして活躍してもらうことを目標としている。座学の中では、八重山には星にまつわる文化が多く残り、訪れた観光客にそういった伝承や文化を伝えていくために文化や歴史についても学べるようにしており、また光害の影響についても学んでいただく。実践トレーニングでは、お客様が楽しめるガイドの仕方を掘り下げる意見交換会やワークショップなどを行い、現場に慣れてもらうためのカリキュラムも行っている。これら講座の内容をパッケージとして、星空ガイド育成のためや星空を学ぶ市民講座のような形式で提供できる体制も出来ている。
「宙旅ナビゲーター認定制度と育成プログラム」
協議会理事・株式会社ビクセン/都築泰久、協議会事務局・株式会社日本旅行/木原美智子)
宙ツーリズム推進協議会として宙ツーリズム業界で旅程管理やおもてなしの心を持ったうえで、星空や宇宙をガイドできる人材を育成するために「宙旅ナビゲーター」というガイド制度を設けたいと考えている。
宙旅ナビゲーターは既にイベントやツアーでガイドとして活躍している人を審査し、認定する方法と初心者向けの育成プログラムを通して認定する方法の2パターンを考えている。宙の基礎知識を持っていることはもちろんだが、旅行業界で活躍する人材として旅程中の安全管理やお客様への対応も重視し、認定を行う予定。宙旅ナビゲーターの有効期間は3年とし、更新時期にはナビゲーター同士が活動報告や情報交換を行う場として更新講習会を設定したいと考えている。これから詰めていかないといけない制度ではあるが、宙ツーリズムが提供できる人材として宙旅ナビゲーターを育成していきたいと考えている。
閉会の挨拶 宙ツーリズム推進協議会 副会長 山崎直子
人の行き来が制限されることによる影響を痛感されている中でも、オンラインを使って活動を行っている事業も少しずつ出始めてきた。厳しい状況であっても宙は世界どこにいても同じで繋がっている。離れていても一緒の星空を見て地域と人を結びつけていきたい。宙を通してよりよい社会をつくっていきたい、という宙ツーリズム推進協議会のビジョンを改めて大切に感じる。宙を活用した地域の観光を盛り上げ、その場所から見える宙を大切にしていきたい。会員の皆様とそういった取組みを進めていきたい。ぜひ、宙ツーリズムを一緒により良くしていければと思う。