宙ツーリズム第3回シンポジウムレポート
「魅力たっぷり!星空の楽しみ方」をテーマに開催
10月27日(日)に、平成30年度より観光庁「テーマ別観光による地方誘客事業」に選定されている宙ツーリズム推進協議会主催による第3回シンポジウムを開催いたしました。星空の魅力を観光資源とした地域のブランディングの取組が全国各地で広がり、さらに、これまで夜の利用が制限されていた国立公園では夜間の新しい利用促進のひとつとして、星空を楽しむ企画が注目されています。これらに着目し、「魅力たっぷり!星空の楽しみ方」をテーマに、各地で星空を観光資源として取組みを進められている皆様にご登壇いただきました。
主催者あいさつ (一社)宙ツーリズム推進協議会 代表 縣秀彦
「宙ツーリズム」というムーブメントを巻き起こそうと2年前から活動しています。私たちの活動を通して、SDGsの目標である幸福の実現や経済活動の促進、地球環境保全に意識を促すことにつながると考えています。ぜひ、皆様にも宙ツーリズムに参画していただければと思います。
環境省 自然環境局 国立公園課 国立公園利用推進室 室長補佐 尾崎 絵美 氏
環境省では「国立公園満喫プロジェクト」として、国立公園にインバウンドも含めて多くの人に来ていただくためには、どのような利用ができるのか、ということを取り組んでいます。この取組みの課題のひとつに、長く滞在してもらうためにはどうするのか、があります。そこで、星空観察であれば宿泊が伴うため滞在時間が延び、課題解決に繋がると考え、注目しております。国立公園を利用する際に「夜に星空を見てはいけない」というルールはありません。周りの自然環境保全のためのマナーを守っていただきながら夜も国立公園を楽しんで利用していただければと思います。
「観光学からみたアストロツーリズム」
和歌山大学 観光学部 准教授 中串 孝志 氏
観光学といっても多方面からの切り口があり、様々な分野と観光を結びつけて考えることができます。宇宙に関する観光の場合は、宇宙に行きたい観光なのか(=スペースツーリズム)、それとも天文学的な観光(=アストロツーリズム)に分けられます。アストロツーリズムの例としてプラネタリウムに行く、天文台に行くなどがあります。プラネタリウムはもともと教育施設として普及しましたが、現在は民間企業が経営に携わり、エンターテインメントのための商業施設に変わりつつあり、一方で、公開天文台では提供するサービスに対する対価が少ない。これは天文台が未だに教育施設と思われていることに一因があります。観光における天文コンテンツが安売りされすぎてきた現実があり、いかにそれから脱却しお金を払ってもらうか、そのためには着地型ツアーに注目すべきと考えています。現在、着地型ツアーの成功例である阿智村の星空ツアーは人気を博していることから、一般人のニーズはあることが分かります。
和歌山大学では鹿児島県与論島でアストロツーリズムのための取組みしています。星空観光を実現するためには光害対策が必須です。これは地域全体の取組みとして地元住民の同意をもらいながら考えていかないといけません。星空だけで人を呼べるほどブランドが確立するまで、やり続けなければいけないというハードルがあります。それを乗り越えるためには星空以外の観光コンテンツも必要。そのように全体をプロデュースしていかなければいけないと考えます。