アジア初の認定を目指した「星空保護区(コミュニティ部門)」の申請が完了
宙ツーリズム推進協議会会員の岡山県井原市は、美星町観光協会と連携して美星町内の屋外照明環境の改善や光害に関する啓発活動に取り組み、岡山県知事から賛同を得て、2021(令和3)年4月28日に「星空保護区(コミュニティ部門)」の申請を行いました。
星空保護区とは
「International Dark Sky Places(和名:星空保護区)」とは、美しい夜空の保護・保存に取り組んでいる団体などを世界基準で評価する国際的な認定制度で、国際ダークスカイ協会(IDA)*1が2001(平成13)年に設けた制度です。認定には、屋外照明に関する厳格な基準*2のクリア、暗い夜空を保護する地域の取組、人々がその夜空を体験できる環境整備などが求められます。
星空保護区には、町や市といった自治体単位に認定される「ダークスカイ・コミュニティ」、自然公園・森林公園・エコパークなどに認定される「ダークスカイ・パーク」など、5つのカテゴリーがあり、日本では2018(平成30)年3月に「西表石垣国立公園」が国内初の「ダークスカイ・パーク」に、また2020(令和2)年12月には東京都神津島が同じく「ダークスカイ・パーク」に認定されています。
この度、井原市美星町が申請をしたカテゴリーは自治体単位の「ダークスカイ・コミュニティ」です。認定されればアジア初となります。
*1 世界の天文学者・環境学者らを中心に光害問題に取り組む世界最大規模のNPO団体。1988年に設立され、米国アリゾナ州にある本部と、世界18ヵ国に64支部を有する。
*2 「ダークスカイ・コミュニティ」認定に必要な主な条件
・光害を防止する屋外照明の使用に関する条例が施行されていること。
・屋外照明に関して、上方光束0%、色温度3000ケルビン以下などの基準に準拠するよう改善
・地域住民や地域関係者の光害・星空保護への理解
・光害に関する講演会、星空観望会や星空ツアー等の体験プログラムが定期的に行われている。
国内初の光害防止条例制定から30余年
人工の光があふれている日本では7割の人が天の川が見えない場所に住んでいると言われています。人工光の過度な増加は、星が見えにくくなるだけでなく、動植物の生態系や人体の健康にも影響を与えます。
美星町では、今から30年以上前に国内で初めて光害防止条例を制定し、必要な所を必要な明るさで照らすという、光の適切な使用に先駆的に取り組んできました。しかし、時代とともに白色LEDの普及が進み、上空への光漏れによる夜空の明るさへの影響が危惧されるようになってきました。 こうした中、美星町観光協会が中心となり「星の郷」であることを再認識するとともに、星空保護区の認定に向け、上方向への光漏れがない星空に優しい照明器具への取替や地域への啓発活動などに取り組んできました。
官民連携による照明器具開発
認定に向けて取り組み始めた時点では、要件に見合う照明器具(防犯灯)が国内にはない状況でしたが、市と協議を重ねたパナソニック社が新たな器具を開発、2020(令和2)年1月にはIDAの認証を得ることで、この難題をクリアすることができました。
さらに、美星町観光協会では、2020(令和2)年1月~2月にかけて、「びせい星守プロジェクト」と題して照明器具の取替や啓発活動に係る費用をクラウドファンディングで募ったところ、目標の3倍近い金額が集まり、市内外の多くの共感を得て取組が一気に加速しました。
照明環境改善前 照明環境改善後
持続可能なまちづくりに向け
美星町では、認定後を見据えた持続可能なまちづくりを進めるため、産学官金民の多様なステークホルダーで組織する「星の郷まちづくりコンソーシアム」を2020(令和2)年10月に組織しました。
参加者が知恵を出し合い、昼間・夜間の観光体験プログラムの提供や星空ガイドの養成、豊かな自然を生かした特産品や土産品の商品開発、販路拡大など、持続可能な新たな取組に果敢にチャレンジしていくこととしています。
今後、審査が順調に進み、2021(令和3)年秋頃に認定が実現したならば、周辺の模範となる地域として、国内外にこの優れた取組を発信していくとともに、少しでも多くの方に美星町に足を運んでいただき、魅力を肌で感じていただきたいと願っています。
INFORMATION
アジア初の認定を目指した「星空保護区(コミュニティ部門)」の申請が完了
【照明器具の申請エリア内設置状況】
●美星町内の防犯灯の取替状況
・施工時期 2020(令和2)年10月~12月
・施工実績 389箇所
●井原市所管施設における施工実績
・施工時期 2021(令和3)年2月~3月
・施工施設 67施設
・施工実績 344箇所
●岡山県所管施設における施工実績
・施工時期 2021(令和3)年3月
・道路照明 7箇所(国道・県道沿い)
合計 740箇所
【お問い合わせ先】
井原市建設経済部観光交流課
住所 岡山県井原市七日市町10
電話 0866-62-8850