宙ツーリズム第2回シンポジウムレポート
「光害対策と星空保護区を活かすツーリズム」をテーマに開催
7月11日(木)に、平成30年度より観光庁「テーマ別観光による地方誘客事業」に選定されている宙ツーリズム推進協議会主催による第2回シンポジウムを開催いたしました。「光害対策」と「星空保護区認定制度」をテーマとし、各方面で実際に活躍されている有識者の皆様に認定制度の仕組みや事例紹介等を講演していただきました。当日は、宙ツーリズム会員の皆様だけでなく一般からも合わせて全国各地から60名ほどの参加がありました。
・主催者あいさつ (一社)宙ツーリズム推進協議会代表縣秀彦
星空を文化にしていくために、光害対策についてしっかりと問題と向き合いきたい。今回のシンポジウムを通して地域活性化のためにも、星空を保護するためにどのような取組みを実際にされているのか知っていただきたい。
環境省大気生活環境室室長
吉川 圭子氏
「光害対策について」
環境省大気生活環境室室長 吉川 圭子氏 「光害対策について」
光害の概要と環境省で行っている取組についてお話いただきました。環境省では、各地域のニーズに応じた光環境づくりをするための光害対策ガイドラインを設けています。近年、世界中で光害問題は注目されるようになり、光害に関する研究文献が増えているとのこと。日本国内でも環境保全かつ地域の安全安心に配慮した照明の導入が始まっており、神奈川県逗子市での事例を紹介いただきました。
また、楽しみながら星空観察の推進する目的として、夏と冬に目で見る星空の観察シートを提供し、観察結果を国際的に共有する国際ダークスカイ協会による取り組みへの参加も呼びかけています。また、デジタルカメラを使用した夜空の明るさを数値化する取組も行い、日本国内のデータ登録地点のうち、天の川が見えやすいと考えられる数値(20等級以上)が得られた地点についてはリストにして環境省のウェブサイトにて公開しています。
今後も継続的に夜空の明るさを収集し、データ結果から星空の見やすさによって段階的にランク分けし、それを地域興しに役立てられる仕組みを考えていらっしゃるとのこと。光害対策を巡る一連の取組の中で人の価値観を豊かなものにし、持続可能な社会の形成を目指したい、と期待を込めてお話してくださいました。
国際ダークスカイ協会東京支部代表
越智 信彰氏(東洋大学准教授)
「星空保護区認定制度について」
国際ダークスカイ協会(以下、IDA)が実施している星空保護区認定制度についてお話いただきました。IDAは1988年に設立されたアメリカのNPO団体で、日本の支部として2013年に東京支部を設立。活動内容は保護区認定だけでなく、フィールド調査や認定支援、啓発活動を行っていらっしゃいます。光害に関する団体としては世界最大規模とのこと。
星空保護区認定制度は単純に夜空が暗いかどうかではなく、人々の生活圏や観光地においてそこに関わる人々が光害を理解し、取組を行っているかを評価し、保護区認定のカテゴリー(ダークスカイコミュニティー、ダークスカイパーク、アーバンナイトスカイプレイス等)ごとに条件を満たしているかどうかで認定可否が審査されます。
星空保護区の認定後メリットとして「星空や環境に対する国際ブランドの獲得」、「メディアへの注目、観光産業への影響(特に滞在型観光)」、「新たな環境問題に取り組む地域としての評価」、「自然環境、星空環境の次世代への継承」についてお話いただきました。また、IDAでは啓発活動用の動画として「Losing the dark (https://idatokyo.org/287/)」を公開しており、個人での鑑賞だけでなく、イベントでの上映などにも活用することが可能とのことです。